カリスマ 中内功とダイエーの戦後 (上)(下)

カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (新潮文庫)

カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈上〉 (新潮文庫)

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カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈下〉 (新潮文庫)

カリスマ―中内功とダイエーの「戦後」〈下〉 (新潮文庫)

弘中さんが、元ダイエーCEOの中内さんについて触れていたので、一度勉強のためと思い、中内伝の中でも評判のよさげなこの本を選んだ。

印象的な部分を抜き出すと・・・

  • 眠ればいつ味方に殺され屍肉をあさり尽くされるかわもしれない。フィリピンの戦場から持ち帰ったこの根源的な人間不信が、同じ血を分けた兄弟を放逐する独裁体制と、人を人とも思わずなぎ倒す強烈な覇権主義をつくった。それは成長期において、中内ダイエーを膨張させる最大の原動力となった。
  • 食料を調達するため、敵陣に斬り込みをかけたとき、敵の手榴弾を被弾し、薄れ行く意識の中で、子供の頃食べたすき焼きの匂いを思い出したという話は、今は中内を語るとき絶対に欠かせない話となっている。・・・ 腹いっぱい食う、腹いっぱい食わせることが、戦後の中内の飽くことの無い夢だった。
  • 中内が痛感させられたのは、しかし火力の圧倒的差ではなかった。むしろ中内が痛いほど思い知らされたのは、彼我のあまりにも大きい兵站の差だった。日本兵はガソリンの一滴は血の一滴と教え込まれていたが、中内らが食料調達のために敵陣に斬りこみに行くと、アメリカ軍はガソリン発動機でアイスクリームを作っていた。
  • 現在の流通部門を支配するものは、生産者であるが、現状に飽き足らず革新を目指す流通業者は生産者をその権力の座から引きずり落とし、流通支配権を流通業者の手に奪い返すことを目指している。そして革新的な流通業者は、その背後に目覚めた消費者、大衆の支持を受けることによって、革命へのプロセスを歩む。これが流通革命である。
  • 売上はすべてを癒す。

壮絶である。